私事覚書

君に今、伝えておきたいこと

2019年も

 去年の今日、私はサンリオショップでキキララの手帳を買って、その後ケーキ屋さんを探していた。

 彼の誕生日だったからだ。


 正確には、私が探していたのはケーキが食べれる店だった。ショートケーキが食べたかったのだが、購入して、家に持って帰って家族に「なにそれ?」と言われたくなかったから。結局そのような店はなく、私は普通のケーキ屋さんでショートケーキをひとつ買って、こそこそ持って帰って、自分の部屋で食べた。美味しかった。

 とにかく、特別な日にしようと思っていた。


 それは私のエゴでしかなかった。

 私にはそれが痛いほどわかっていたし、だから誰にも何も言われたくないなと思ってこの一年黙っていた。

 一年経ったら、どこかで話そうと思っていた。

 箱に書かれていた賞味期限が、2018.9.22.だったこと。





 今しかできないことがある。


 終わってから、それに気づくこともある。

 あの景色を、彼が見せたいと思ってくれた景色を見ることができて、本当に、よかった。






 そして、今年、関ジャニ∞が地元に来る。

 私は、彼が、例えそれが力技のようであったとしても、今、私たちに見せたい景色をどうしても見たいと思った。十五祭に誘ってくれた友人も行く気満々だった。一緒に行こうね、隣にいようねと話をしていた。詳細が出た19日、ファンクラブに入っていないと行けないことを知ったのは予備校から帰る市電のなかだった。一瞬、そうか、私は行けないのか! ととにかくびっくりした。中学生の頃、友人がファンクラブに入る際仕組みなどを聞いていたが、そのときは確かファンクラブに申し込んで、実際にライブの申し込みができるようになるまで数カ月かかるとか言ってた気がしていたから。こんなにはやく次のライブが決まると思ってなくて、大学に入ってからバイトして、自分の金で入ろうと思っていた。そうか、私は行けないのか……、と思いながら、一応ファンクラブの入り方を検索した。システムが変わっていた。メール登録して金を振り込んで会員番号のメール受け取ったら申し込みができるという情報をキャッチした。おや、行けるぞ! とまたびっくりした。

 そのとき、私の背負ったリュックサックの中には7割ぐらいは自分で稼いだといえるお金が入っていた。


 地元の祭りの手伝いに予備校の生徒として駆り出された、その、奉仕料だった。7割ぐらいなのはそれに参加するため父親に早朝(まだ夜だった)から車を出してもらったりしたからだ。でも、とにかく、それを私の行動に対して支払われた対価だということにして、私はファンクラブに入ろう、そして地元で、関ジャニ∞に会いに行こうと思った。





 東京をはじめ、どちらかといえば人が入ってくるような都市部に住んでいる人は、きっとそうでない人が都会に対して抱いている複雑な感情というものが、わからないんだろうなと思っている。なんというか、根本的に。

 「Tokyoholic」とか大森靖子さんの「東京と今日」とかを聴いていると、すごく思う。

 私だって、東京がよくテレビうつるような場所ばっかりじゃないことは知ってるけど、でもとにかく、テレビで紹介されるのはそんな感じの“東京”だし“都会”だし。大体、山手線ですか? そういったものを、みんな知ってる前提で話を進められたときの疎外感、というのは半端じゃない。「輪るピングドラム」も「さらざんまい」も、正直そういうとこはよくわからないまま見てた。別にいいけどね。わからなくても見れるし……。
 東京には何度か行ったことあるけど、全然地理とかわかんないし、本当に有益な知識としては所謂都市部ではない他の地方と同じぐらいしかないんじゃないかとも思う。
 でも、東京ってやつはなんか特別だし、他の都市部も……。でかいドームがあって、イベントとかも行われて、という。歌ができるくらいなんだ。なんだろうな、ずっと複雑な感情がある。それはどれだけ説明してもわからないんだろうなと思うしまあ、わかってもらわんでもいい。

 自分なりに分析して思うのは、都会に対する複雑な感情っていうのは、結局、地元に対する感情が入り混じっているということ。


 私はずーっとこんな家出ていってやる! と思ってたし大学も県外を志望してるし、地元に返ってくることはないかなぁと思ってるけど、地元にたいする愛情というのはある。実は去年の今日、ケーキ屋さん探す途中でまあケーキじゃなくても、ちょっといいものを食べれればいいかなと思って地元の和菓子屋に入ってレーズンサンドを買った。これも自分の部屋でこそこそ食べた。びっくりするぐらい美味しかった。美味しすぎて、それから誕生日を迎えた友だちの誕プレに必ず入れたし大好きなフォロワーにもあげた。お店のサイト見たり、ちょくちょくお店に行くようになった。

 彼のおかげで地元に愛着が湧いた! と思って、嬉しかった。



 だからこうして、地元に、交通の便がいい都市部とかじゃなくて、収容人数も少ないしどうやって行くんだ? みたいな場所にあるホールに、彼が来てくれるというのは、どうしようもなく特別なことだ。私はずっと、それは嬉しい。
 彼が東京出身じゃないから好きになったわけではないし、一般的にみたら都市部出身の彼ではあるが、それでも東京に対する感情というのは、きっともっているだろうと思うし、私は勝手にそれに仲間意識をもっているから。



 無理すんな。と思う。休んでも、誰も怒らん。とも思う。

 でも、彼が、今、見せたい景色があるなら、私はそれを見に行こう。


 それを見れるのは、今だけだ。




 やりたいことをやればいいよ。


 私がファンクラブに入り、地元のライブに行く旨を父親に話したあと、入金を頼まれた母親は「あんたがこの前話してた、自分は浪人生だからヒールを我慢してるのにみんな履いてて気が散るって言ってた子が知ったらどう思うかね」と笑いながら言った。(この人は私が浪人することになった際「なんにしても、19歳は一回しかないんだし、ほどほどに好きなこともしなさい」と言ってくれたので、これは別に嫌味ではない。)

 私は鼻で笑った。




 そんなつまらん理由で自分のやりたいこと我慢してるようなやつは一生、自分のやりたいことなんかできないんだよ。











 最後になりましたが、お誕生日おめでとうございます。

 君が今後、誰かの常識や、同情や、共感にその尊い感情を晒すことなくまっすぐ自分のやりたいことをやっていくけることを心から願っています。






(なんか完全に当たる気満々だしまあ外れることはないだろうと思ってるんですけど、外れたらどうしよう……。祈っておいてください、よろしくお願いします。ではまた)


追記 2019/10/09

 落選しました! びっくり……。でもつくづく、自分で応募して、自分で落選できてよかったです。応募できないほうが絶対後悔してたし……。浮いたチケット代でまだ観てないライブDVD買うか美味しいもの食べます。優勝してくぞっ。

 当たった皆さんと関ジャニ∞が無事に楽しめますようお祈りしております。