私事覚書

君に今、伝えておきたいこと

君の誕生日に、来年の手帳を買う。

 君の誕生日に来年の手帳を買いに行ったのは、君があの日、あと36年生きるって言ったからだ。もうすでに、私の倍生きてる君が、それでも、あと倍生きるって言ったからだ。そして君がこれからも頑張りますって言ったからだ。私には、そう聞こえた。じゃあ、とりあえず、私もあと一年頑張ろうと思って、生きて、今日まで頑張って、来年も生きようと思って手帳を買いに行った。




 明日死ぬかもしれないのに来年の手帳を買って、それから大切な人の、大好きな人の誕生日も書き込むことは祈りに近い。私は全人類の幸せを願うほど善人にはなれないけれど、私の大好きな人が幸せになれるなら、何度でも地獄に行きたい。それは私のわがままで、お節介でしかないことを私は知っているけど、君には、どうしても君の幸せをつかみとってほしいといつも祈ってる。


 そもそも君は、君が最高だってこと、ちゃんと知っているだろうか。君の感情は君だけのものでなによりも尊いもので誰にも触らせてはいけないこと、つまらない同情や悪意や常識にさらされていいものではないことを、君は本当に、知っているだろうか。

 私はずっと知っていた。そして君にはそれを、守り抜いて、大切にして、いつの日か君の戦場から世界に見せつけてほしかった。私はそんな君を見て、世界が腰抜かすぐらい幸せになる。君は最高。君が好きだ。君が瞳を大きく開いてうっすら微笑みながら絵を描いてるのが好きだ。君が美味しいものを食べて黙って先輩を見つめちゃうのが好きだ。君がまわりを意識しすぎてセルフ過剰演出しようとするのが好きだ。君が遠くからでもわかるぐらい大きく体を動かしてアピールするのが好きだ。君が後輩になめられておしりの写真を撮られちゃうのが好きだ。君が空気を読まないで不機嫌だったりご機嫌だったりするのが好きだ。君が自分の文脈で物事を解釈して言葉を選択してしゃべるのが好きだ。君がこれからよろしくお願いしますって言うのが好きだ。君が未来に向かって頑張りますっていうのが好きだ。君が明日も生きていることを前提に今日を生きてるのが好きだ。
 君が生きていることが好きだ。君が生きてきたことが好きだ。君が生きていたことが好きだ。好きだから、好きだ。

 君が好きだ。

 実というと、言いたいことはこれだけで、そんなにない。いつも言ってることだし、私は誕生日じゃなくったっていつでも君には幸せでいてほしいし私は君のことが好きだ。でも改めて、言わせてほしくて、今日もここに来てる。誕生日おめでとう。幸せに、なってね。







 君って、君のことだよ。






 ではまた